ホテルの料金が大きく上昇している。新型コロナウイルス危機から脱して需要が増えているのを追い風に、利益率の回復を目指して値上げが広がっている。人件費をはじめとする経費の増大も背景にある。
調査会社MKGによると、1室の平均料金は2022年に107ユーロとなり、前年比で27%の大幅増を記録した。特にパリでは42%増と勢いが大きく、地方は13%増と、より小幅な値上げとなっている。新型コロナウイルス危機を通じてホテルは需要の急減に対応して料金を引き下げたが、それを取り戻す動きが加速した。既に危機前の2019年の水準と比べて13%高くなっており、これは同じ期間の物価上昇率の2倍の上昇に相当する。ホテルの料金上昇につられて、民泊の料金も上昇しており、Airbnbの物件の料金は2019年11月と比べて28%上昇している。
欧州や米国からの観光客が戻っており、ビジネス客も、2019年の水準には復帰していないが、かなり戻ってきた。客室稼働率は75%で、これは2021年の35%に比べて高いが、2019年の81%までは戻っていない。それでも、需要の回復を背景に、人手不足のために引き上げた人件費(業界の賃金体系が4月1日に改定され、16%の引き上げに)やインフレ亢進に伴うコストの増分を料金に転嫁する動きが進んでいる。