仏政府は、フィンランドの通信機器大手ノキアから、海底ケーブル敷設の子会社ASN(アルカテル・サブマリン・ネットワークス)の80%株式を買収する。27日に発表された。
公的機関の国家出資庁(APE)を通じて、1億ユーロ程度でASNの80%株式を買収する。ASNの評価額は3億5000万ユーロ(負債含む)に設定された。国家投資庁は、後に残り株式を取得するオプションも確保した。
ASNは、ノキアがかつて買収した仏企業アルカテルに由来する資産。海底ケーブルの設計、敷設、保守の専門企業で、従業員数は1000人程度。フランス(北仏カレーに拠点)と英国、ノルウェーに拠点を置いている。年商は10億ユーロを超えており、世界的な需要増大を背景に、2019年以来で2倍に増加した。海底ケーブルに関する技術力を保有する企業は欧州において数が少なく、仏政府はこれを戦略的資産とみなして、自ら買収に乗り出すことを決めた。
ノキアは以前からASNを売却する機会をうかがっており、2019年には売却先の候補企業も現れたが、この時は売却に失敗していた。ノキアは足元で、5G通信機器の需要が一段落したことで業績が後退しており、財務基盤のテコ入れを図り、事業を集約化するために、ASNの売却を決めた。