30日の総選挙第1回投票を前に、優勢の極右RNを率いるマリーヌ・ルペン氏の発言が物議を醸している。ルペン氏は、「コアビタシオン」政権下における大統領の軍の指揮権を問題視した。
フランスでは、大統領に広範な権限があるが、過去に、大統領とは異なる政治勢力による内閣が発足したことがある。これは俗にコアビタシオン(共存)と呼ばれる状態であり、ミッテラン大統領(左派)の下でのシラク右派内閣、シラク大統領の下でのジョスパン左派内閣の例がある。過去のコアビタシオン政権の下で、「軍事・外交は大統領の専管事項」という解釈が定まっており、特に軍事については、憲法第15条の「大統領は軍の指揮官」という規定が根拠となっている。ルペン氏は26日付の地方紙ルテレグラムとのインタビューの中で、軍の司令官が大統領だというのは儀礼的なものであり、財布の鍵を握るのは首相だ、などと言明し、「(ウクライナを念頭に置いて)大統領は部隊を派遣できない」と言明した。この発言については、連立与党陣営が、憲法の規定を無視してすべての実権を握ろうとするRNの危険な姿勢を示すものだと強く批判している。