新型コロナウイルス感染症が再び増加している。この8週間で顕著に増加した。
現在の感染は、JN.1.7と、KP.2及びKP.3の3種により引き起こされており、これらはいずれも、オミクロン株に由来するJN.1の亜種であるという。現在では重症化が少なくなり、6月第1週における緊急外来の患者に占める割合は0.34%とわずかで、医療システムにとっての脅威とはなっていない。2022年のオミクロン株の流行以来で、ウイルスの被害はかなり小さくなっている。対処法が確立したこと、ワクチン接種や過去の感染により免疫力が向上したことなどが、重症化を防ぐ要因になっているものと考えられる。また、変異を通じて感染力の高い株が主流となり、毒性の方は逆に弱まった可能性もある。
この時期の感染拡大は、新型コロナウイルスの感染のあり方が、まだ季節性インフルエンザとはかなり異なっていることを示唆している。5月中旬にパリで行われたテイラー・スウィフトの大規模コンサート(数回で合計18万人を動員)がクラスターになったとの指摘もある。その一方で、世界保健機関(WHO)は、JN.1をベースにしたワクチンの製造を勧告している。