極右RNの台頭にはメディアの力が大きく働いている。特に、実業家バンサン・ボロレ氏傘下のメディアは極右的な思想を一般に浸透させる役割を果たした。ボロレ氏が所有するビベンディ傘下のCNews(ニュース専門地デジ局)の場合は、エリック・ゼムール氏を積極的に起用して、極右の主張を普及させることに貢献した。ボロレ氏はまた、ラガルデール・グループの買収を経て日曜紙JDDを手中に収め、右翼系の人材を起用して同紙の編集方針を一変させた。インターネットが情報操作に対して脆弱であり、またリコメンドの仕組みのために「類は友を呼ぶ」効果で信念が強化され、虚偽が流布する悪循環が形成されやすいことはよく知られているが、大手メディアもそうしたループの一環に入ってしまった感がある。米国でFOXニュースが果たした役割を考えるとわかりやすい。
ルモンド紙によると、RNとの協力を発表して騒ぎを起こした保守野党「共和党」のシオティ党首は、欧州議会選挙投票日翌日の10日に、RNの指導者らと接触したが、それと同時に、バンサン・ボロレ氏の自宅を訪れて会談したという。シオティ党首はむしろ使い魔で、「右翼糾合」のシナリオを売り込んでいるのはボロレ氏の方だということらしい。