公共放送改革法案が下院小委員会で審議されている。公共放送部門を一つの持ち株会社の下に統合する方針が小委員会にて承認された。
新ホールディング会社「フランス・メディア」には、フランス・テレビジョン、ラジオ・フランス、INA(映像アーカイブなどを運営する公的機関)の3社が合流する。アルテ(独仏合同の文化専門テレビ局)のフランス側組織は参加しない。フランス・メディア・モンド(外国での放送など担当)はひとまず合流から外れる。合流する3社はフランス・メディアの子会社となり、それぞれに経営陣が置かれるが、持ち株会社の指揮下に入る。従業員総数は1万4000人近く、年間予算(公的補助金)は30億ユーロ超の大所帯となる。フランス・メディアのCEOは、ARCOM(放送行政監督機関)が任期5年で任命する。フランス・テレビジョンのエルノットCEOは統合に賛成しており、フランス・メディアのCEOに立候補する可能性がある。2025年年頭に持ち株会社を設立し、その1年後を目処に統合を実現することを目指すが、統合にかかる費用に関する試算等は今のところ示されていない。ラジオ・フランスはフランス・テレビジョンに比べて賃金が低く、横並びに改定するとなるとそれだけで年間3000万-5000万ユーロの費用が発生するといい、統合は必ずしも費用削減には直結しない。
統合を後押しする政府は、デジタル時代の競合に対抗する足場を築くために、公共放送部門の活性化を図る必要があると統合の理由を説明している。これに対して、特にラジオ・フランス内では統合に伴う雇用への影響等を懸念する声が大きい。