ドラクロワ(1798-1863)の名画「民衆を導く自由の女神」が6ヵ月間の修復を経て、5月2日にルーブル美術館に戻ってくる。
「民衆を導く自由の女神」は、ドラクロワが1830年の7月革命の直後に描いた作品で、三色旗を掲げて屍の上を進む女性に民衆が従って進む模様を描いている。フランスを象徴する作品として国民の間では広く知られ、数多くの引用やパロディの対象ともなっている。
今回の修復は専門機関のC2RMF(フランス美術館修復研究所)が手掛けた。過去の修復の際の上塗りで隠れてしまった細部が再び見えるようになり、配色や細かいニュアンスもドラクロワの意図を明らかにする形に戻された。前景左下にある靴や、耳から血を流して倒れている人などのディテールはこれまで認識されていなかった。
ドラクロワはこの作品を描いた時に32才で、生活が厳しかったこともあり、用いられたキャンバスの質はごく粗悪であるという。この作品は原色のみを用いて短期間で描きあげられたといい、修復に当たった専門家らは、勢いのある制作姿勢がうかがわれると説明している。