仏政府はこのほど、7月1日付で失業保険制度の改正を実行すると予告した。
政府は、2027年時点で完全雇用を実現することを目標に掲げており、失業保険制度の改正をその手段として捉えている。受給資格を厳しくするなどの方法で、就業インセンティブを高めて、失業を減らして就労者を増やすことを目指しており、その方向で制度を見直す。失業保険は、本来は労使による共同運営が建前だが、労使は先に、新たな合意に向けた交渉に失敗しており、政府はそれを理由に、自ら改正案をまとめることを決めた。労使からの意見聴取は行うが、交渉権は与えず、政府が意見を踏まえて改正案を定める。現行制度が6月30日までの期限付きで延長適用されており、期限が切れる7月1日付で改正が施行されるよう、準備を進める。意見聴取の手続きは数週間以内に開始される。
なお、経営者団体のうちU2Pが先に、一部の労組との間で、有給休暇の権利を転職先でも行使可能にするアカウント制度CETUの導入で基本合意を結んだ。政府はこれについて、関心を持って注目しているとコメントしたが、今回の改正においてこれを取り入れる可能性は示さなかった。
政府がどのような改正を加えるかはまだ決まっていないが、アタル首相はこれまでに、給付期間、給付条件(就労実績)、給付額の3つの調節手段があると言明した上で、給付条件の調節を特に有望視するとコメントしていた。労組側は、政府が自ら改正案をまとめることに反発している。