政府がまとめた中期財政計画について、会計検査院の付属組織であるHCFP(財政高等評議会)が17日に意見書を提出した。財政健全化の展望に根拠が欠けると厳しく批判する内容になった。
政府は中期財政計画において、財政赤字の対GDP比を2027年に3%以内にまで圧縮するとの目標を維持した。ただ、2023年に財政赤字は対GDP比で5.5%まで膨張しており(当初見込みは4.9%)、従来通りの赤字削減の目標を達成するのは難しくなっている。意見書は、政府が経済成長率の予測を下方修正した(従来予測の「2024年に1.4%、2025年に1.7%」を「2024年に1%、2025年に1.4%」へ)とはいえ、まだ過度に楽観的だと指摘。貿易の拡大、貯蓄性向の低下、雇用拡大といった楽観的な前提に依拠した予測であることを問題視した。その上で、政府の展望には整合性が欠けており、およそ現実的ではないとも指摘した。支出削減を大幅に進めるのだとしたら景気回復が阻害されるとし、現状の経済成長予測は楽観的過ぎるため、さらに支出の削減を迫られると指摘。赤字削減を優先するか、経済成長の確保を優先して赤字削減のペースを落とすか、いずれかを選択しなければならないとも指摘した。意見書はまた、支出削減の方法があいまいで現実的でないとも指摘、その明確化を求めた。さらに、評議会の意見書として、政治的決定に介入するのは異例だが、減税公約(中産階級向けの20億ユーロ減税、法人向け減税)の見直しを検討するよう勧告した。