経営難の仏アトス(情報処理)は9日、債権者団に提示した再建策を公表した。債権者団の48億ユーロの債務を24億ユーロまで圧縮するとの内容。債務再編は主に債権の株式への転換を通じてなされ、既存株主の出資率はかなり目減りするという。アトスは26日までに回答を求めた。既存株主の側の反発も予想される。
アトスはその一方で、12億ユーロを債権者、既存株主、投資家から確保する計画。その内訳は、6億ユーロが現金(2024-25年に債務又は出資で確保)、3億ユーロが新たなクレジットラインで、また3億ユーロが銀行保証となる。当座の債務返済に対応できる財務基盤を整えた上で、残りの債務について、5年間の返済猶予の取り付けを目指す。アトスは4億ユーロのつなぎ融資を銀行団から確保したと発表。また、仏政府がスパコン事業子会社のブルSAの株式を取得し、5000万ユーロの融資を与えたことも発表された。スパコン事業は、核兵器シミュレーションの重要技術を担っており、政府は戦略的事業を防衛する目的で出資に踏み切った。政府はこれにとどまらず、アトスを仏資本企業としてとどめるための策を講じる考えを示唆しており、今後の出方が注目される。
他方、アトスの筆頭株主となったダビッド・ラヤニ氏(Onepoint社のCEO)は、26日にアトス再建の提案を公表する。これには、大物投資家のウォルター・バトラー氏が協力を約束したことが明らかにされており、再建策の内容も注目ポイントとなる。