自然災害の保険に関する報告書が2日、政府に提出された。政府は報告書を踏まえて、制度改正について関係各方面と協議する。今秋に法令案を策定する。
気候変動に伴う水害など自然災害の発生は今後も増加するものと予想される。損害保険の制度維持を図る目的で、政府は報告書の作成を保険分野の専門家であるラングルネー氏に依頼。116ページに及ぶ報告書がこのほど提出された。
政府によれば、自然災害に伴うコストは、2050年までに50%増を記録する見通しとなっている。自然災害の被害は、住宅保険によりカバーされるが、住宅保険料からの徴収金による公的な自然災害基金があり、これが保険プールのような形で保険会社を支えることになっている。保険事故が増えると、災害の多い地域から保険会社が退き、保険砂漠化する危険があるが、政府は、報告書に含まれる提言のうち、リスクの低い地域に偏って保険を引き受けている会社から負担金を徴収し、リスクの高い地域でも事業を展開する保険会社の収入とするという仕組みの導入に賛意を表明。保険引き受けの状況等を地域ごとにモニタリングする組織の設置もあわせて予告した。自然災害基金の徴収金の引き上げの展望については判断を示さなかった。
政府は、住宅強靭性の向上やリスク対策を含めた制度改正案を準備すると約束。これを関係各方面との協議の末に今秋にも策定すると予告した。増税で財源を確保する可能性は否定した。