仏の映画産業支援組織であるCNC(国立映画映像センター)が発表した2023年の活動報告によると、コロナ禍で一時危機的状況に陥った仏の映画製作産業はコロナ禍前の水準にほぼ回復した。
2023年にCNCの支援認可を受けた映画の本数は2022年より10本増えて298本となり、2017-19年の年間平均である約300本に並んだ。特に、フィクションとアニメを中心に、仏映画(資金の半分超を国内で調達した映画)が236本を占めた(2022年は208本)。外国資本が出資する共同制作映画は120本となり、やはりコロナ禍前の水準にほぼ回復した。
製作本数の増加に伴って投資額も増え、CNCの支援認可を受けた映画の投資総額は13億4000万ユーロとなった。これは前年比で13.6%増、2017-19年の年間平均比でも12.9%増に当たる。仏映画の投資額は前年比23.4%増の11億ユーロとなり、過去10年間で見ても2016年と2021年に次ぐ高水準を記録した。共同制作映画の投資額は4億6468万ユーロとなり、前年比で10.2%減少した。
仏映画の1本当たりの予算額も3年連続で増加して平均額は478万ユーロとなり、これも2017年以降の最高だった。本数では、予算が100万-400万ユーロの映画が最も多く、全体の41.9%を占めたが、400万-700万ユーロの中規模予算の映画も、全体の23.7%を占めるまでに増え、2004年以降で最高となった。記録映画が減ったことで予算額が100万ユーロ未満の映画は減ったが、一方で、『モンテ・クリスト伯』や『ド・ゴール』など2000万ユーロを超える大予算映画は8本となり、前年から2倍に増えた。
仏映画への放送事業者による投資額は総額3億8400万ユーロに達し、史上最高を記録した。事業者別でのトップはカナルプリュスで1億5400万ユーロ、無料局では公共放送のフランス2が4800万ユーロ、フランス3が2200万ユーロだった。外国の配信プラットフォームは39本に総額4800万ユーロを投資したが、これは本数でも投資額でも前年の2倍超に当たる。