恒常的な水不足を背景に、フランスでも再生水利用が本格化しつつある。ベシュ・エコロジー移行相が22日に状況を説明した。
再生水利用は、従来から水不足に悩んでいた国では既に本格化している。地中海沿岸諸国では、再生水の利用率は、スペインで15%、イスラエルでは実に90%に上っている。フランスではこの割合は1%に過ぎない。仏政府は、再生水の利用拡大を柱の一つとする対策プランを1年前に策定。その中で、2027年までに再生水利用のプロジェクト1000件を推進するとの目標を設定したが、これまでの集計では700件が実施中又は準備中となっており、目標達成が射程に入った。フランスには全国に2万3000ヵ所の下水処理場があるが、うち、再生水利用に適した施設は1年前には33ヵ所に過ぎず、この1年間で大きく前進した。700件のプロジェクトのうち、300件は自治体によるもので、残りは企業によるプロジェクトが占める。2023年8月に制定の政令により、再生水利用プロジェクトの認可期間を5年間とする制限が撤廃され、これにより、長期的な展望に立ってプロジェクトを推進することが可能になり、利用が大きく加速した。昨年末には、灌漑と緑地向けの利用に関する施行令も公示された。1月には、食品加工部門における再生水の利用に関する政令も公示され、法令の枠組みが整いつつある。水処理大手のヴェオリアは、自治体からの事業受託で、50件程度の再生水利用事業を進めており、2025年には200ヵ所の処理場での対応を完了することを目指している。