パリ政治学院(シアンスポ)が揺れている。学院長の辞任に続いて、学内の人種差別問題が浮上している。
パリ政治学院は政治家の登竜門としても知られる名門校で、マクロン大統領をはじめとして出身者は多い。そのマティアス・ビシュラ学院長は13日に辞意を表明。学院長はマクロン大統領とも同窓の間柄だが、元内縁の妻にDVで告訴を受け、去る12月に事情聴取を受けていた。学院長側も元内縁の妻をDVで告訴しており、検察当局は先に、両者をともに起訴することを決定した。学院長は、この件が学校に害をなすのを避ける目的で辞任すると説明している。
これに前後して、学内で12日に発生した事案が政治問題に発展している。同日には、パレスチナ支持派による無届の学生運動が学内で行われたが、この際に、仏ユダヤ人学生連盟(UEJF)に所属する女子学生が入場を妨害される事案があった。ユダヤ人排斥的な言葉が発せられたとの証言もある。マクロン大統領は13日に開いた閣議でこの問題を取り上げ、このようなことは容認できないと言明。政府はこの件を検察当局に通報した。アタル首相は同日夜にパリ政治学院の理事会を訪問し、政府として強い憂慮の念を伝えた。