仏音楽出版業界団体SNEPの集計によると、仏音楽市場は2023年に9億6800万ユーロの規模となり、前年比で5.1%の成長を記録した。2017年以来で7年連続で成長した。成長率は、新型コロナウイルス危機の影響が大きく出た2020年(0.1%増)と2021年(反動で14.3%の大幅増)を除くと標準的な水準だが、2022年(6.4%増)と比べると減速がみられた。
内訳をみると、著作隣接権収入が前年並み1億2200万ユーロ、映画・ドラマ等における使用が2.8%減の3100万ユーロ、物理媒体(レコード、CD等)が1.2%減の1億9500万ユーロとなった。デジタルは6億2000万ユーロに上り、前年比で8.8%増を記録。全体の64%を占めるまでに至った。うち、ストリーミングは6億1000万ユーロで、残りの1000万ユーロはダウンロードとスマホ向けが占めた。ストリーミングの増収率が1桁台まで鈍化したのはこれが初めてで、まだ伸び代が大きいはずなのに減速に向かっていることに業界は懸念を示している。ストリーミングのうち、有料サービスの収入は77%を占めており、残りは広告収入とSNS上の楽曲使用等に由来するが、SNEPでは、TikTok上の楽曲使用が大量であるのに適正な収入が確保されていないと問題視。この問題では、大手ユニバーサルがTikTok上の楽曲使用を禁止して係争を起こしている。