パリ高裁は14日、「ビグマリオン事件」の控訴審裁判で、サルコジ元大統領に禁固1年(うち6ヵ月は執行猶予付き)の有罪判決を言い渡した。元大統領は判決を不服として上告すると予告した。
ビグマリオン事件は、サルコジ氏が再選を狙って出馬した2012年の大統領選挙時の選挙資金不正事件。選挙費用が法定上限を超えていたにもかかわらず、協力会社ビグマリオンが、関連費用を別の名目に偽装して請求するなどの手口で、法令順守を偽装していた。元大統領は、選挙費用の上限超過について選挙法違反の罪を問われ、パリ高裁は、下級審の判決である「執行猶予なしの禁固1年」を軽くした上で、有罪判決を維持した。ビグマリオン社やその責任者、サルコジ大統領のUMP党(現在の共和党)の幹部ら、残りの9人の被告人は、文書偽造などの罪で、執行猶予付きの禁固1年から2年の有罪判決を受けた。被告人のうち6人には被選挙権の5年間停止、2人には会社経営の5年間の禁止処分も言い渡された。
サルコジ元大統領は、不正の事実について一切知らなかったと主張。虚偽と作り話にほかならないとして容疑事実を全面的に否定した。なお、元大統領は、別の不正事件である通称「ビスミュート事件」(自らの権限を利用して司法関係者に褒章を約束して厚遇を取り付けようとした疑い)で去る5月に禁固3年(うち1年が実刑部分)の有罪判決を控訴審で受けた。こちらも上告中となっている。また、リビア政治資金疑惑の第1審裁判が2025年に予定されており、この事件に絡んだ別事件の捜査でも容疑者認定を受けている。