RATP(パリ交通公団)の最大労組であるCGTは29日、2月5日から9月9日までという長期間のストを予告した。パリ五輪(7月26日から8月11日まで)とパラリンピック(8月28日から9月8日まで)を念頭に置いて、大会期間中にストを行う可能性を示唆するのが狙いとみられる。CGTは賃金関連の措置が不十分だと主張し、経営側に交渉の開始を要求している。
7ヵ月間という長期のスト予告期間は異例だが、専門家によると、法令と判例は、スト予告期間の長さについて制限を設けていないといい、今回の予告期間は適法であるという。スト予告を行う義務は、公共部門と公共サービスについて定められているものであり、それ自体がスト権の制限に当たるため、期間の制限を設けることは法律論的に難しいのだという。公共交通機関におけるスト時の最低限のサービスの確保は、法律上の義務ではないが、公共交通機関の運営主体(自治体連合等)は、事業者との間で結ぶ委託契約において、契約上の義務としてこれを設定することができる。パリ首都圏の場合は、事業者がラッシュアワーについて通常の50%の運行を確保することを約束している。ストの48時間以上前に、当日に就労するか否かを各従業員は会社側に通知しなければならず、会社側は就労状況を把握の上で、最低限のサービスを確保するための手配を行う。契約上の義務を達成できなかった場合にはペナルティが発生する。
労組側がストを予告した場合、経営側は交渉に応じる義務がある。ストの予告は交渉開始を求める手段であり、必ずしも実行されるとは限らない。今回の予告では、五輪期間中のストの可能性をちらつかせて、交渉を有利に進めるのが労組側の目的だと考えられる。