完全置換型の人工心臓を開発する仏カルマットは29日、1490万ユーロの増資を完了したと発表した。資金繰りに3ヵ月間の余裕を確保した。
カルマットは2008年に設立。現在は上場企業だが、生産体制の確立が不十分であることなどから、経営が厳しい状況にある。今回の増資は1株3.99ユーロの価格で実施され、グリーンシュー行使後の総額規模は1650万ユーロに上った。増資後の希薄化は17%程度とみられており、カルマットの株価は29日の取引中に5.4%低下の4.21%で推移している。
カルマットは、当面の資金繰りの確保により、生産と販売の拡大を継続することが可能になると説明。国内の臨床試験「EFICAS」も継続できるとした。カルマットは現在、欧州投資銀行(EIB)との間で、2018年に得た3000万ユーロの融資の返済繰り延べについて交渉中で、一部の債務が株式に書き換えられる見通しだが、これが成立すれば、向こう12ヵ月間で追加の資金確保の必要は3500万ユーロで済むという。債権銀行団との交渉は3月末までの完了を目指す。今回の増資の完了でも、目先の資金繰りしか確保できていない状況にかわりはない。