国内の医薬品不足が厳しさを増している。当局機関のANSM(医薬品安全庁)が26日に2023年の集計結果を発表した。
これによると、医薬品の品薄・品切れの通報が2023年通年で4925件寄せられた。これは前年比で30.9%増となり、2021年比では実に128%の増加に相当する。医薬品不足は、欧州諸国の全体でも見受けられる傾向で、生産の問題や生産能力の不足に加えて、人口高齢化に伴う需要の増大に生産が追い付かない状況も生じている。通報のうち40%では、量的制限や、投薬基準の厳格化、輸入拡大などの対応が必要となった。不足が目立つ医薬品としては、心臓病・循環器疾患、神経疾患、感染症、がんの関連医薬品が多い。
ANSMは、医薬品在庫等の情報共有の体制を強化し、製造者に対して在庫水準の引き下げを促すなどの対策を進めた。その成果もあり、アモキシシリン(感染症治療薬)の不足はこの数ヵ月間で徐々に改善してきた。反面、アジスロマイシンやセフポドキシムは、小児用を中心に状況が悪化している。