まずはこの写真を見てほしい(https://www.europe1.fr/dossiers/bruno-le-maire)。ブリュノ・ルメール経済相の写真だが、このポーズに見覚えはないだろうか。そう、「七年殺し」のポーズである。日刊紙ルパリジャンの3日号(日曜版)をお持ちの方がいたら是非そちらも見てほしい。一面トップの写真で同じ形を作っている。これはお得意のポーズなのだろう。安定感のあるピラミッドのような形といい、肘をしっかり締めた姿勢といい、実際に用いたらかなりの破壊力を発揮するのは間違いない。
ルメール経済相が「七年殺し」を意識しているとは思えないが、政治家の決めポーズとしては、ドイツのメルケル前首相が後期によく見せていた、指を体の前で逆三角形に組むポーズが思い出される。これはあまり関係ないが、1969年生まれのルメール経済相(54)も知独派でドイツ語が堪能、パリのルイルグラン高校から高等師範学校(ENS)に進み、文学を学んだ。その後に、パリ政治学院(IEP)から国立行政学院(ENA)という政治家のエリートコースを進んだ。似たような経歴の大物にはジュペ元首相がおり、いずれも保守政界の顔である。ルメール経済相はノルマンディ地方ウール県で下院議員等を務め、サルコジ右派政権においても農相(2009-12年)など閣僚経験があるが、2017年の大統領選挙ではマクロン支持に転じた。マクロン大統領就任からこれまで、一貫して経済相を務め、内閣の重鎮となっている。
ルメール経済相が抱く次期大統領就任への野心は知らぬ者もないが、ライバルは多い。経済相としても、財政の健全化と景気対策や政策課題の両立など、困難なかじ取りを迫られ、失敗すれば足元をすくわれるだろう。「七年殺し」が果たして4年後の大統領選に効いてくるのか、刮目して見守ろうではないか。