マクロン大統領は21日、100社程度の中小企業の経営者を大統領府に集めて会合を開いた。成長株の中小企業を支援する新プログラム「ETIncelles」を正式に開始した。
ETIncelles(エタンセル)は「閃光」を意味し、中堅企業(従業員数250人超・年商5000万ユーロ超)を意味する「ETI」とかけた名称となっている。フランスは中堅企業数が5600社で、ドイツ(1万2000社)はもとより、イタリア(8000社)と比べても層が薄い。それでも、フランスで中堅企業が輸出に占める割合は33%、雇用数に占める割合も25%と大きく、中小企業を中堅企業へと育成することが重要な政策課題となっている。全国の中小企業数は14万6000を数えるが、政府はうち2万社に、中堅企業に成長を遂げるポテンシャルがあると見据えている。
マクロン政権は2020年に、2027年までに中堅企業数を6000社に増やすことを目標に掲げた「Nation ETI」戦略を発表。その延長線上に新プログラムを用意し、2027年までに中堅企業数を1000社増やすとの目標を新たに掲げた。
新プログラムは1年前から50社を対象に試験導入されており、これを本格化する。中小企業から中堅企業に切り替わる際には、規制上の分類が変わり、新たな義務などが発生する。それへの対応は想定していなかった負担を招くことになり、これが成長を妨げる要因の一つになっている。新プログラムは、この移行段階に差し掛かった企業を、12-18ヵ月間の期限でサポートするという趣旨で、地域圏レベルの出先機関に45人の担当者を置き、担当企業の相談に直接に対応して支援を与える。2027年までに500社を支援の対象とする予定。