全国の自治体で公共交通機関の無料化に踏み切るところが増えている。2020年の前回市町村選挙で公約に掲げた自治体が導入を進めている。
国内の大都市では、モンペリエが初めて完全無料化に踏み切る。12月21日19時より実施される。モンペリエはフランスで第7位の都市であり、完全無料化の自治体として、欧州で最大規模になるという。
仏国内では、パリ北郊のコンピエーニュがパイオニアで、1975年に無料化を決めた。現在では、ダンケルク市など40程度の都市が完全無料化を実施している。このほか、土曜や週末などに限定して無料開放している自治体も15程度を数える。無料化の効果は大きく、例えばノジャンルロトルー市の場合、無料化から6ヵ月間で56%の旅客増加を記録した。とはいえ、どの程度のドライバーが公共交通機関に切り替えたのかの把握は難しい。マイカーの利用制限などを並行して導入しない限り、排ガス削減や温室効果ガス排出削減といった政策目標達成の切り札にはなりえないという見方もある。
無料化には収入源を失うというデメリットもある。ブルジュ市の場合は、運賃収入(250万ユーロ)は全体の財源の15%を占めるに過ぎず、収支均衡を確保できることから大きな問題はなかったというが、それでも収入が減ることにはかわりない。同市は、企業対象の拠出金を増額して財源を確保することを決めた。