100%電動の航空機がフランスで普及している。飛行クラブが積極的に導入した。
スロベニア籍のPipistrel社(2022年以来、米Textronの傘下)が開発した2人乗りの電動航空機「Velis Electro」は3年前に欧州当局の型式承認を取得。世界で就役中の100%電動航空機は現在までこれが唯一のモデルとなっている。Velis Electroの就役中の機体のうち、3分の1はフランス登録となっており、フランスでの普及が最も進んでいる。飛行クラブの連合会FFAと、ブルターニュ地方のGreen Aerolease社(航空機リース)が協力して採用を後押ししたのが奏功した。
FFAは自ら6機を購入。Green Aeroleaseは20機程度を飛行クラブにリースしている。Velis Electroは重量が428kg、飛行速度は時速160kmで、1時間程度の連続飛行が可能。1機の価格は26万ユーロで、Green Aeroleaseは50機を発注して普及を支えた。同社は現在、35機をフランスのほか、欧州数ヵ国に展開。騒音がなく、近隣住民との関係が良好になることに加えて、燃料費や保険料、整備費などを合算した費用総額が、1時間の飛行当たりで130ユーロと、エンジン機の160ユーロに比べて安いという利点がある。充電も通常のEV用の充電器を利用できる。近く投入されるバッテリーでは、航続距離が延び、1時間30分までの飛行が可能になるという。大手企業がスポンサー契約で援助したり、地元自治体が助成金を出したことも、導入を後押しした。