医療ベンチャーの仏カルセラ(Carthera)がこのほど、3750万ユーロの調達を完了した。新開発の医療機器「SonoCloud」の第III相臨床試験を行うための資金を確保した。
SonoCloudは、厚さ数ミリメートルの小型のインプラントで、脳腫瘍の患者の治療を助ける役割を果たす。デバイスは、手術により脳に接触する形で埋め込まれ、完全埋め込みで自立的に15ヵ月程度に渡り機能する。低出力の超音波を発することで、脳血管関門の機能を一時的に低下させることができ、脳血管関門のせいで投薬がターゲットに到達することが妨げられることがなくなる。効果的なデリバリーが可能になるため、治療効果が向上すると共に、副反応を最小化することができる。膠芽腫の治療のために開発され、第II相治験では、患者の生存率を40-50%高める成果が得られた。第III相治験を経て、2026年にも認可取得を目指す。アルツハイマー型認知症などへの応用にも期待がかかる。
カルセラは、ソルボンヌ大学発のベンチャー企業で、発明者のカルパンティエ教授が設立した。今回はシリーズBの資金調達で、名前が明かされていない新たな投資家が1500万ユーロを出資、欧州連合(EU)のEIC(欧州イノベーション評議会)も1050万ユーロを拠出した。残りは既存株主(Panakes Partners、Relyens Innovation Sante、Supernova Invest)などが追加で拠出した。これら既存株主とカルパンティエ氏が資本の75%を維持する。