フランスのこの夏の観光シーズンは全体として予想以上の好況を迎えている。公的機関アトゥ・フランス(フランス観光局)が速報を公表した。
外国人観光客の回復が需要を押し上げている。米国人観光客は前年比で22%の増加を記録。日本人観光客は140%の大幅増を記録したが、危機前の水準と比べるとまだ45%少ない。欧州諸国の観光客は危機前の水準に復帰した。全体として、インバウンド観光客に由来する収入は2023年通年で640億-670億ユーロに上る見込みで、前年の580億ユーロを大きく上回り、過去最高記録を更新する見通し。
国内客の動向も堅調で、国民の67%が7月と8月に休暇旅行・週末旅行に出発した。うち88%が国内観光となっている。ただ、前年と比べるとわずかに後退しており、また、危機前の2019年の水準までは回復していない。収入の増加は料金の増加により支えられており、消費の拡大は実現していない。宿泊料以外の支出は削られる傾向も見受けられ、インフレ亢進が旅行客の行動を束縛している可能性がある。
国内の観光地では、やはり南仏の人気が高いものの、フランスの北半分で客足が増える傾向がある。海浜から山間部や田園地方へと旅行客がシフトしつつある様子もうかがえるという。コルシカ島では観光客数が4.5%の減少を記録した。