新型コロナウイルスの感染がフランスでも再び拡大している。新変異株の出現と、夏季に人が集まる機会が増えたことが背景にある。
オミクロン株の亜種であるEG.5.1(XBB.1.9.2.5.1)、通称「エリス」が米国やアジア諸国で広がっており、これが欧州とフランスでも拡大している。制限措置が撤廃され、コロナは過去のことだという意識が広がる中で、予防行動も風化しており、感染
が拡大しやすくなっている。帰省で家族が集まったり、各種の催事が行われることもあり、人の間の接触が増えたことも感染拡大の要因となる。
新型コロナウイルスのサーベイランス体制もかなり後退しており、感染の現状を把握するのは難しいが、10万人当たりの感染発生数は1週間で11から19へと大きく増加している。組織的に検査が行われていないことから、実際の感染はさらに多いものと考
えられる。今のところ医療機関の受け入れ態勢に問題はないが、新型コロナウイルス感染症の疑いで緊急外来を訪れる人の数は、全国で34%増(大人の場合)を記録している。地域により増加率はさらに大きく、ペイドラロワール地域圏では210%増を記
録。ただし、数では21人増と、対応可能な範囲にとどまっている。