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病欠期間中に有給休暇の権利が発生しないのは欧州指令違反=ベルサイユ高等行政裁判決

ベルサイユ高等行政裁判所は7月18日、政府が労働法規に欧州連合(EU)の指令を反映させていないのは不当とする労組側の訴えを認める形で、国に損害賠償の支払いを命じる判決を下した。訴えた3労組(CGT、FO、ソリデール)に1万ユーロずつを支払うよう、国に対して命じた。
フランスの労働法規は、病欠期間中について、有給休暇の権利を発生させる実績にならないと定めている。また、有給休暇中に病欠となった場合には、有給休暇は繰り越されず、消費された扱いとなる。労組側は、これらの規定が、2003年のEU指令に違反すると主張し、権利を侵害された従業員を代表する形で国を相手取る訴訟を起こした。ベルサイユ高等行政裁は、この問題に関する欧州司法裁判所の判断を参照しつつ、下級審であるモントルイユ地方行政裁の判決を支持し、賠償金額を5万ユーロから3万ユーロに減額したものの、国の責任を認める判決を下した。
政府は2ヵ月以内に上告が可能だが、労組CGTは、高裁での裁判の際に国は弁明を放棄しており、欧州指令違反の事実を自ら認めているようにみえると指摘している。判例が確定した場合、公務員部門については、立法措置を必要とせず、指令の内容が直接に適用されるというが、民間部門については、改正がされるまで現行法令の適用が継続されるため、使用者側が拒否する場合に、従業員側が権利を行使するには訴訟を起こす必要がある。また、欧州指令は有給休暇を年間4週間と定めており、フランスの5週間よりも少ないため、指令は比例相応分(5分の4)に適用されることになる。労組側は、最高裁の過去の勧告に即して、政府に対して早期に法令を改正し、欧州指令の内容を反映させるよう促している。

KSM News and Research