仏メディア大手ビベンディは7月4日、パリ・サンジェルマンデプレ地区にある老舗書店「レキュームデパージュ(L’Ecume des Pages)」を保有するESF社の買収に向け独占交渉を開始したと発表した。2ヵ月の期限で交渉を行う。報道によれば、ビベンディは、所有者であるブザンソン一族に対して450万ユーロでの買収を提案。象徴的な文化施設の発展に貢献するという方針からの投資であり、オランピア(コンサートホール)や制作座(劇場)への投資と同様の考えに基づいていると説明している。ESFは2016年の売上高が430万ユーロ。サンジェルマンデプレ地区では老舗の書店が相次いで姿を消しており、ビベンディはこの投資でレキュームデパージュの存続をアピールする。
また、ビベンディは同日、子会社のプリスマ・メディア社が資産売却に向けて日刊紙大手ルフィガロ・グループと独占交渉を開始したと発表した。プリスマ傘下の芸能週刊誌「ガラ(Gala)」を売却する。ビベンディは、ラガルデール・グループの買収で欧州委員会から許可を取り付ける上で、一連の保有資産の売却を約束しており、ガラもその中に含まれる。ガラは、年商が3200万ユーロ、営業利益は1000万ユーロ。2022年の有料発行部数は平均で12万8000部弱で、前年比で4.7%減少していた。報道によると、売却額は6000万-8000万ユーロ程度の見込み。ビベンディはこのほか、出版子会社のエディティスを、チェコ人実業家クレティンスキー氏に売却する方向で交渉を進めている。ビベンディは、ラガルデール傘下の出版大手アシェットを手元に残すため、これらの資産売却を約束した。