パリ行政地裁は23日、汚職糾弾NGOのアンティコール(Anticor)に政府が与えた認可を取り消す判決を下した。アンティコールは判決を不服としてパリ行政高裁に控訴すると共に、政府に対して新たな認可を緊急に発行するよう要求した。
政府は、一連のNGOに対して、特定の範囲の案件について、被害者を代表する形で告訴し、原告として訴追の手続きに関与することを認めており、アンティコールは2015年以来、その認可を受けている。今回の判決では、その認可が取り消された。この訴えは、アンティコールの元職員らが2020年に起こしたもので、2021年4月に政府が定めた認可付与の省令(3年期限)について、手続き上の理由を挙げてその取り消しを求めていた。裁判所も訴えを認めて、省令を取り消した。
認可が取り消されると、現在進行中の汚職等の事件の訴追において、アンティコールは権限を行使できなくなり、捜査が立ち消えになるなどの問題が生じる恐れがある。この裁判所の決定については、左翼政党LFIと保守野党の共和党が共に影響を懸念するコメントを発表。政府が認可を与える現行制度は利益相反の排除という点で問題があるため、独立行政機関のHATVP(閣僚の資産申告の審査などの権限を有する)が認可を与える形に制度を改正するよう呼びかけた。