ルメール経済相は19日、財政に関する全体会議を招集した。経済相は開会に当たり、財政健全化に向けた展望を示した。
仏政府は、新型コロナウイルス危機を通じて、費用にいとめをつけずに経済を支援するとの方針を掲げ、財政赤字の拡大を招いた。その方針は既に修正の途上にあるが、ルメール経済相は今回、平常に復帰する中で、拡大財政は正当化されないと述べて、健全化を指針とする考えを明確に示した。経済相はそれに関係して、2027年までの財政の健全化に貢献する100億ユーロの節減の可能性を既に見出したと説明し、今後の財政運営への自信を示した。政府は、エネルギー価格抑制策の終了、年金と失業保険の制度改革の成果、雇用拡大の恩恵などに期待している模様で、同時に、一部の部門(農業、建設など)を対象にした燃料に係る税制優遇措置の廃止や、医療支出の削減などが進められる見通し。経済相は、傷病手当金の支出急増の対策と、医薬品の支出膨張の対策に言及している。また、住宅援助と雇用援助にも20億ユーロ程度の節減がなされる模様だという。これらの節減には抵抗も予想され、実現に困難が伴う恐れがある。政府は、多年次財政計画を9月に策定する予定で、節減措置はそれに盛り込まれる。
政府は、2027年時点で公的債務残高の対GDP比を108.3%にまで引き下げ、財政赤字の対GDP比については、3%以内という欧州連合(EU)の規則を達成することを目指している。金利上昇に伴う国債費の拡大への対処も課題となる。