欧州中銀(ECB)は15日に定例理事会を開き、0.25ポイントの利上げを決定した。8回連続で利上げを決めた。下限金利は3.5%、上限金利は4.25%、リファイナンス金利は4%となった。2001年5月以来で最高の水準に達した。
米連邦準備制度理事会(FRB)はその前日に金利の据え置きを決めていたが、年内に再利上げを行う可能性を示唆していた。欧州中銀は利上げを決めたが、FRBと欧州中銀の決定はいずれも予想通りだった。欧州中銀は、インフレ率が5月に減速したとはいえ、コア物価の上昇率が減速に向かうとは判断できないとし、賃金上昇がインフレを押し上げるスパイラルの発生を抑止することを利上げの理由として挙げた。欧州中銀のラガルド総裁は、小休止をするつもりはないとし、7月にも利上げを継続する可能性がごく高いと言明した。
欧州中銀はマクロ経済予測を修正。ユーロ圏の経済成長率は、2023年に0.9%、2024年に1.5%、2025年に1.6%として、従来の予測をわずかに引き下げた。インフレ率は2023年に5.4%、2024年に3%、2025年に2.2%と予測。コア物価上昇率は2023年に5.1%、2024年に3%として、従来予測(4.6%と2.5%)をかなり上方修正した。
欧州中銀はまた、予定通り、資産買い入れプログラム(APP)で買い入れた債券の再投資を終了することを決定。この再投資は既に月間150億ユーロまで縮小しているが、これを打ち切る。これにより、9兆ユーロ近くまで膨らんだ資産額を縮小し、月間で300億ユーロの流動性を市中から回収する。TLTRO(長期資金供給オペ)も延長しない。