市街地の車両乗り入れ制限地区ZFEの設定について、上院は14日に報告書を公表した。導入日程が厳しいと指摘し、延期等を勧告した。
ZFEの内部では、汚染度が高い車両の乗り入れが原則的に禁止される。2021年の気候・強靭性法により、人口15万人超の43の都市圏を対象に、2024年末日までにZFEの設定が義務付けられた。ただ、住民が激しい反対運動を展開しているところもあり、根強い反発がある。
上院が行った世論調査(5万1000人が対象)によると、個人では86%、事業者では79%がZFEの設定に反対すると回答している。報告書は、ZFEの設定により乗り入れ不可となる車両は全体の3分の1余り、台数にして1300万台に上ると指摘。これをあと1年半で締め出すということになると、地域や社会各層間の不平等を助長することになると問題視し、2030年年頭まで導入期限を延長することを提案。さらに、政策目標をより迅速に、また効率的に達成することが可能な代替措置の導入に切り替える自由を自治体側に付与することも提案した。報告書はまた、乗り入れが認められるEVなどへの買い替えをするにも、価格が高いことから、そうした買い替えが必要となる低所得層ほど困難が大きくなると指摘し、低所得層に的を絞った奨励金支給等の施策を展開するよう勧告。特に、支給の手続きをやりやすくすることが大切だと指摘した。公共交通機関など代替的なモビリティ手段の確保と、地域間の協調体制の構築も必要だとした。