下院で6月12日、ボルヌ内閣の不信任案の審議が行われた。反対多数で否決された。
不信任案は左派連合NUPESが提出した。定年年齢を62才から64才に引き上げる年金改革法の規定の廃止を求める議員立法法案の採択を政府が妨害したと主張し、ボルヌ内閣に退陣を要求していた。連立与党は下院で過半数を失っており、ボルヌ内閣の不信任案が提出されるのはこれが17回目となったが、今回は、賛成が239票(可決に必要なのは289票)と、かなり少数にとどまった。保守野党の共和党(62議席)も不信任案に賛成しなかった。
今後は内閣改造の行方が政局の焦点となる。マクロン大統領は、小幅な内閣改造にとどめるか、共和党の少なくとも一部を取り込む形で本格的な改造を行うか、いずれにするかを決めかねているといい、その選択によってボルヌ首相の続投の是非も変わってくる。共和党は、踏み込んだ内容の移民改正法案を提出しており、これに対する政府の態度によっては、内閣不信任案に合流する可能性もあると示唆している。共和党は移民改正法案の採択を条件として、マクロン政権との協力路線に転じる可能性もあるが、共和党の内部には方針を巡る重大な対立もあり、行方は判然としない。連立与党内にも温度差があり、右寄りに舵を切れば求心力が低下する可能性もある。