政府は7日、デュソプト労相が提出した「完全雇用法案」を閣議決定した。
法案は、2027年に失業率を5%前後まで引き下げ(現在は7.1%)、完全雇用を達成することを目標に掲げている。このため、ポールアンプロワ(ハローワーク)を新設機関「フランス・トラバイユ」に発展的に解消し、新機関が就職活動の支援と各種給付の支給を一元的に扱うことで、援助と就業が直結するような制度作りを進める方針が盛り込まれた。特に、RSA(生活保護手当の一種)の受給者については、自動的に失業者登録を行い、週に最大20時間のトレーニングを受けることが義務付けられる。この措置は、マクロン大統領が大統領選挙時に公約として掲げたものだが、困窮者に義務を課すのは不当だとする批判の声が一部の野党側から上がっている。デュソプト労相は、RSAの受給者のうち4割に当たる35万人がいかなる就業支援も受けていないとし、そのような人をわずかな給付金を与えて放っておくほうがはるかに不当だと主張し、制度改正を正当化した。制度改正により失業登録者数は跳ね上がることになるが、労相は、それによって政府が依拠しているILO基準の失業率の数値が大きく変わることはないとの見方も示した。
デュソプト労相は11月に、過去のアノネー市市長時代の不正疑惑で被告人として裁判を受けることになっている。野党側がこれを攻撃材料にするのは必至で、法案の国会審議は、労相が担当した年金改革法案に続いて、再び荒れ模様となることが予想される。