6月6日、年金改革に反対する14回目の抗議行動が実施されたが、警察発表によると、デモ行進の参加者数は全国で28万1000人にとどまり、動員力の低下が鮮明になった。1月19日に開始した抗議行動は、一時は120万人以上を集める盛り上がりを見せたが、メーデー(5月1日)の統一デモでは参加者はすでに78万2000人に低下していた。なお、毎回警察発表と大きくかけ離れた大規模な動員数を発表する労組CGTは、5月1日の動員数を230万人、6月6日の動員数を90万人以上としている。
下院では8日の本会議で、年金改革の撤廃を求める議員立法法案の審議が予定されており、これを控えて諸労組のリーダーは6日の抗議行動では下院議事堂の前に集結した。同法案は中道野党の小グループ「LIOT」が提出したものだが、その肝となる第1条(定年年齢を62才から64才へ引き上げるとする年金改革法の規定を撤廃する内容)は小委員会のレベルですでに削除されており、本会議での審議で同条項の復活が認められる可能性もほぼないため、改革反対派の希望は潰えつつある。
労組CFDTのベルジェ書記長は「不本意ながら試合は終わりつつある」と認め、8日の審議についても「未知数の部分はあるが、見通しは良くない」と予想。今後の対応についても、主要労組が一丸となって主導する全国抗議デモは今回が最後だと述べた。CGTのビネ書記長のほうは、8日の下院審議にまだ期待を託す姿勢を示し、抗議デモを今後も続ける可能性を示唆するなど、両者の態度には温度差が感じられる。ただし両書記長はともに、今後も重要な労働問題に関しては労組間の協力を維持する方針を表明した。