格付け会社S&Pは2日夜の時点で、フランス国債の格付けを「AA」に維持すると発表した。格付け見通しは引き続き「ネガティブ」とした。
格付け会社のフィッチは4月末の時点で、フランス国債の格付けを「AAマイナス」に引き下げていた。S&Pはそれに先立ち、12月の時点で仏国債の格付け見通しを「ネガティブ」としており、今回の発表で格下げがあるかどうかが注目されていた。格下げが決まると長期金利の上昇とそれに伴う国債費の負担増も予想されることから、仏政府は格下げ回避に向けた熱意をこのところ繰り返し表明しており、その努力が実った格好になった。
S&Pは、仏政府が中期的な財務健全化の戦略を見直した点を評価。仏経済が好況で推移している点も挙げた。最近に決まった年金改革と、エネルギー危機に絡んだ支援措置の終了の展望も肯定的に評価したが、設定された目標の達成に向けた信頼性にまつわるリスクも指摘した。
ルメール経済相は格付け維持の決定について、「ポジティブなサイン」だとし、財務面でのフランスの戦略は明確であり、野心的であり、信頼性がある、と強調した。政府は最近に、2026年時点で財政赤字の対GDP比を3.2%まで圧縮する方針を示し、数日前には、2023年予算を100億ユーロ相当凍結することを決定。2024年に予算の5%節減を実現する方針も明らかにしている。