仏政府は5月30日、夏季シーズンの季節労働力確保のための措置を公表した。観光業界を中心に深刻化している人手不足の軽減を図る。
政府によると、昨年の夏季シーズンには、15万人の季節労働力の需要があったが、実際に確保できたのはその半数にとどまったという。新型コロナウイルス危機が一段落し、観光客が目立って増加する中で、外食・宿泊業の人手不足は深刻化している。今年は昨年よりも3万人から4万人相当の労働力の需要増が見込まれ、政府は支援に乗り出した。
具体的には、3年間の期間を対象に、トレーニングと季節労働者の住居確保支援を中心とするプランを策定し、状況を見ながら随時、柔軟に改めるという方式を採用。トレーニングでは、35-150時間という短期の研修をポールアンプロワ(ハローワーク)の下で行い、業界に通じていない労働力も呼び込める体制を準備する。このために1000万ユーロの補助金を提供し、特に需給がひっ迫する労働力の確保を支援する。就業者のシーズンオフにおける雇用やトレーニングを確保するのも課題で、この点では、海浜の観光地を選んで支援のパイロットプロジェクトを推進する。季節労働者の住居確保では、6月に斡旋のための官製プラットフォームを立ち上げ、公共部門を中心とした住居の活用を図り、学生寮や寄宿舎を開放して2000人分の収容能力を確保するなどの取り組みを進める。より長期的には、季節労働者への住居賃貸に係る税制優遇措置の適用等により、民間部門の住居の活用も図る。