不動産価格の低下が目立っている。金利上昇に伴い、家計が住宅購入の購買力を失ったことが背景にある。
中古住宅の取引件数は、2023年3月までの12ヵ月間で106万9000件となり、ピークを記録した2021年9月までの12ヵ月間の120万件と比べて10%程度の後退を記録した。金利上昇に伴い、20年ローンで家計が借りられる平均金額は、20万ユーロから15万ユーロへと目減りしており、住宅購入に踏み切れない世帯が増えたことが影響している。
取引件数の後退に伴い、パリで始まった取引価格の低下も全国に広がりつつある。パリ首都圏(イルドフランス地域圏)では、1-3月期に前の期比で1%程度の取引価格の低下(アパート、一戸建てとも)を記録した。これまでは、新型コロナウイルス危機に伴い、都会から地方に移住する人が増え、その需要が地方の住宅価格を押し上げていたが、ここへ来て流れが変わった。ペイドラロワール、グランテスト、オードフランスの各地域圏では、取引価格が0.2-0.8%の低下を記録。一戸建ての取引価格の低下はさらに目立ち、オードフランス地域圏では1.2%の低下を記録した。