フランス情報メディアのET TOI(エトワ)

フランスと日本をつなぐ

1€=

新規登録

鉄道車輪を製造のバルデューンが経営難、中国親会社が支援打ち切り決める

鉄道車両の車輪・車軸等を製造する仏バルデューン(Valdunes)が経営難に陥っている。同社を保有する中国の馬鞍山鋼鉄(MA Steel)が支援を打ち切る方針を確認した。従業員らは抗議行動を開始した。
バルデューンは、北仏ダンケルク近郊とバランシエンヌ近郊に工場を保有。前者で95人、後者で245人を雇用している。2014年に馬鞍山鋼鉄の傘下に入ったが、それ以来で業績は傾いている。仏国鉄SNCFからの受注も、かつては車輪が年間4万5000体に上っていたが、現在では3500まで後退しているという。
馬鞍山鋼鉄は5日に資金の追加投入は行わないと通告。労組は工場前にピケを張るなどの抗議行動を開始した。11日にはレスキュール工業担当相が労組代表との会談に応じ、信頼できる買収者を探す支援を約束したが、労組側は懐疑的な見方を崩していない。地元の自治体連合のロバン議長(共産党)は、「馬鞍山鋼鉄は吸血鬼。ノウハウや生産装備を略奪するのが目的だった」と非難。同じく地元選出の下院議員で共産党の全国書記を務めるルーセル議員は、SNCFやRATP(パリ交通公団)やアルストムといった需要家が、イタリア、チェコ、スペインなどの競合企業からの調達を優先したことがバルデューンの苦境の背景にあるとし、国内生産の擁護を呼びかけた。

KSM News and Research