仏鉄道SNCFのローコスト高速鉄道サービス「Ouigo」が、2013年の誕生から10年を迎えた。航空部門などで始まったローコストサービス人気を背景に成長し、これまでに運んだ旅客数は1億1000万人、2020年以来では6000万人に達している。乗車率は平日で80%、週末では90%と高い。パリ郊外のマルヌラバレと仏南部のマルセイユ、モンペリエをつなぐ路線からスタートし、路線数は現在約60程度まで増加している。
「Ouigo」のチケット価格は、最低で10ユーロ。販売数の半分程度が25ユーロ未満、50ユーロを超えるのは15%のみと、通常の高速鉄道TGVに比べてかなり割安に設定されている。その代わり、▽1等車や食堂車がない、▽基本料金に含まれるのは小型の荷物持ち込みのみで、大型の荷物持ち込みはオプション、▽コンセント付きの席の選択や、チケットの変更などもオプション、といった点が通常のTGVとは異なる。価格を抑えられる理由としては、▽TGVに比べてスペースの利用効率を上げ、座席数を増やしている、▽保守作業を夜間に行う、▽製造から約15年程度を経た車両を用いる、▽TGVに比べて車両の稼働率が高い(1本あたりの年間走行距離は70万キロで、TGVの2倍に達する)といった点が挙げられる。
SNCFによると、Ouigo事業のEBITDAは黒字を計上し、新たな投資が可能なだけの利益を確保できているという。Ouigoの年間旅客数は2022年に2400万人。SNCFは、これを2025年に5000万人に引き上げることを目指す。これに向けて、編成数を現在の38本から2027年に50本に引き上げる。また、自転車の持ち込みを可能にするなど新たなオプションの導入も検討中。