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欧州委員会、砲弾生産能力強化計画を提示

ウクライナのゼレンスキー大統領らが近く反転攻勢に出ることを予告した中で、欧州委員会は5月3日、欧州連合(EU)の砲弾生産能力強化支援計画を提示した。EUは3月末に、100万発以上の155mm砲弾をウクライナに提供することを決定し、加盟国の在庫からの供給を進めているが、同時に域内で砲弾を生産して在庫を再構築する必要がある。
ブルトン欧州委員(域内市場・産業政策担当)は、12ヵ月以内にEUの年間生産能力を100万発にまで増強することを目標として、EU予算から5億ユーロを拠出することを提案した。このうち2億6000万ユーロは欧州防衛基金から拠出し、2億4000万ユーロは欧州委員会が2022年7月に提案したEDIRPA(共同調達を通じた欧州防衛産業強化法)の基金から捻出する方針。さらに加盟国にも結束基金や復興基金などからの拠出を求め、総額で10億ユーロを投じることを見込んでいる。
EUでは11ヵ国の15社前後の企業が砲弾を生産しており、欧州委員会はこれらの企業の生産能力増強を支援することで、ウクライナへの供給で低下する在庫を復元することを計画。各々の増産プロジェクトの資金の40%をEUが負担し、さらに複数国の企業が協働する場合には10%を上乗せし、また、ウクライナ向けの供給を優先する場合にも10%を追加する。さらに、危険物質を扱う産業施設に関する環境関連規制(セベソ指令など)の適用などに関しても、2025年まで特例として免除するなど、規制緩和を通じても域内の砲弾生産を促進する方針。
欧州委員会の提案は欧州議会とEU理事会による承認を必要としており、ブルトン委員は早期の承認を呼びかけた。

KSM News and Research