5月1日といえば「メーデー」を連想する方が多いかもしれません。確かに、5月1日は「メーデー Fête du travail」ですが、フランスでは「すずらんの日 Jour du Muguet」でもあるのです。すずらんとは春から夏にかけて咲く、あの鈴型で香り高い白い花! すずらんの日にいったいどんなことをするのでしょうか? このコーナーではフランスの「すずらんの日」について紹介します。
街中がすずらんでいっぱいに!?
フランスでは5月1日、またはその数日前から通りや花屋さん、スーパーなど、街のいたるところですずらんの花が売り出されます。小さなブーケ型が多いですが、なかには鉢に入ったもの、他の花とミックスされたブーケなどさまざま。その他、雑貨やファッション、お菓子などでもすずらんをモチーフにしたものがたくさん店頭に並びます。すずらんは、フランスで幸運をもたらす花とされており、花言葉は「幸せの再来retour de bonheur」。まさに幸せを運ぶ花で、「すずらんの日」は、家族や友人、大切な人にすずらんを贈る日なのです。
しかし、ユニークなのは購入して贈ることだけではありません。実はなんと、5月1日は一般の人が路上で許可なくすずらんの花を販売することができます! ただし、「すずらん以外の花を売ってはいけない」「花屋さんから40メートル以内の場所では販売してはいけない」など、販売に際しいくつかのルールがありますので、詳細はよく確認してください。
この慣習はいつから?
どうしてすずらんの花を贈るようになったのでしょうか? その起源、成り立ちは諸説ありますが、確かなことはルネサンス期、シャルル9世の時代まで遡ります。シャルル9世が5月1日にドロームを訪れた際、すずらんの花を受け取り、それを大変気に入ったことで翌年から毎年宮廷の女性たちにすずらんの花を贈るようになったと言われています。
しかし、この慣習が一般的になるのはそれからだいぶ時を経た1900年になってからのこと。この年の5月1日、パリの高級婦人服デザイナーによって開催されたパーティーで、会場の全女性にすずらんの花が贈られました。そのことに感銘を受けたお針子たちが、翌年再び彼らのブランドの顧客にすずらんを贈ったことで、少しずつ現在のような形になっていったということです。
メーデーとの関係は?
メーデーも5月1日ですが、これらの起源には何か関係があるのでしょうか。実は何の関係もないと言われています。メーデーはもともとアメリカの労働組合が1886年8時間労働を要求したことに由来しています。5月1日なのは、多くのアメリカの企業が5月から新年度の会計をスタートさせるからです。その後、この日は国際的な労働者の日となっていきました。フランスでは1919年に8時間労働制を取り入れていますが、5月1日は変わらず労働条件の改善や賃上げを要求する日であり、1941年以降は祝日となっています。
大切な人へ
5月1日のフランスはメーデーのため多くの商店、スーパーが閉まりますが、通りはすずらん売りで賑わい、花屋さんもいつもとは違う趣で、特別な日であること間違いなし! 皆さんも大切な人にすずらんの花を贈ってみてはいかがでしょうか? でも、すずらんは強い毒性を持っており、口にすると死に至る危険性もあると言われています。お子さんがいるご家庭は特にご注意を。
参考サイト:
Paris – 1er mai et muguet, ce qu’il faut savoir
https://www.paris.fr/pages/1er-mai-et-muguet-ce-qu-il-faut-savoir-19246
TF1 INFO – Muguet du 1er mai : au fait, pourquoi en offre-t-on ce jour-là ?
https://www.tf1info.fr/societe/muguet-1er-mai-2019-pourquoi-la-tradition-d-offrir-ces-fleurs-le-jour-de-la-fete-du-travail-1500130.html
ÇA M’INTÉRSSE – Pourquoi offre-t-on du muguet le 1er mai ?
https://www.caminteresse.fr/histoire/pourquoi-offre-t-on-du-muguet-le-1er-mai-1138065/