2009年に発生したリオ発パリ行きのエールフランス機の墜落事故で、パリ地裁は17日、エールフランスと機体製造のエアバス社に対して無罪判決を言い渡した。複数の過失があったが、事故との直接の因果関係が立証されなかったと判断した。
この事故では、乗客216人と乗員12人の全員が死亡した。事故原因の調査では、飛行中に高度計(ピトー管)が凍結したことに由来する混乱の中で、機体の失速に対して操縦者らが適切な対応をすることができず、そのまま大西洋上に墜落したことが判明している。事故の責任を問う過失致死容疑の捜査では、事件を担当する予審判事が、一旦は不起訴を決めたが、遺族らの要望もあり、異議申し立てを経て一転して起訴に至ったという経緯があった。ただ、裁判に至ったとはいえ、新たな証拠や論拠があるわけではないため、無罪判決が出される可能性がはじめから高く、検察側は求刑で無罪を請求していた。裁判所も判決でそれに従った。
裁判所は、エアバスについては、ピトー管凍結の複数の事案をこの事故前に通知されていたのに、しかるべき対策を怠るなどの過失があったと認定。エールフランスについては、高度計の故障の際の対応を乗組員に徹底していなかったなどの過失があったと認めた。しかし、これらの過失と事故発生の間の因果関係は立証されておらず、犯罪を構成すると認めることはできないとし、無罪判決を言い渡した。ただし、裁判所が過失の存在を認めたことで、遺族に対する賠償責任が追加で発生する。金額を決めるための公判が9月4日に行われる。遺族らの団体は、無罪判決に強い失望の念を表明した。