仏ガラス器製造大手のアルク・インターナショナルは、エネルギー価格高騰のために稼働を停止していたガス溶解炉の稼働再開を進めている。11日にはレスキュール産業担当相が北仏アルク市(パドカレー県)にある工場を訪問。1000万ユーロの融資を同社に行うことを明らかにした。
アルク工場では、8つある溶解炉(いずれもガス稼働)のうち、昨年秋に5つが稼働を停止していた。同工場は年間130万MWh相当のエネルギー(うち8割近くがガス)を消費するが、2021年には1MWh当たり13ユーロだったガス価格が、昨年には200ユーロにまで高騰し、操業の中断に追い込まれていた。ガス価格が鎮静化に向かったことで、このほど操業再開に着手。現在は6基が稼働中、1基が稼働再開を準備中で、1基がメンテ中となっている。
同工場は従業員が4500人で、業種を問わずにフランスで8番目の規模の工場であるという。アルク・インターナショナルは、経営難の末に、2015年に米国の投資ファンドPHPの傘下に入った。地元の雇用に及ぼす影響も配慮し、政府は新型コロナウイルス危機以来の2020年以来で、アルクのフランス事業に合計で1億3850万ユーロの融資を行った。今回、PHPによる設備投資を2倍とする目的で1000万ユーロの追加融資を行ったが、レスキュール産業担当相はこの融資について、エネルギー移行を支援するためのものだと説明している。