ノルマンディ地方の町で文化財に指定されている鐘が盗難された。600kgに上る鐘が行方不明となり、住民らは困惑している。
問題の鐘はマンシュ県ラエーペスネル町(人口1200人)にあった。町の所有物として、教会の前の広場に設置された台座の上に置かれていた。この鐘は大革命期に当たる1793年に、倒壊の懸念があった教会の2つの鐘を溶かして鋳造し直されたもので、革命政府時代の碑文が刻まれていた。27日の朝になくなっているのを町の職員が発見し、ナバレ町長が警察に盗難届を出した。
復活祭(今年は4月9日)も近く、復活祭には鐘がローマに飛んでゆき、祭りが終わると戻ってくるという俗信もあることから、町民からは、「最初は冗談かと思った」という声も聞かれた。犯行の動機は不明だが、現在のブロンズの価格に照らすと、鐘の資源としての価値は4000ユーロ弱といい、それが目的なら、すぐに切断され、転売されてしまうだろうとナバレ町長は残念がっている。当局は捜査を開始し、ある手がかりを探っているというが、詳細は明らかにされていない。町の中心からこれだけの重量物を誰にも知られずに運び出すのは困難であり、状況には何かと謎も多い。言い伝えが本当なら、復活祭が終われば戻ってくるかもしれない。