欧州委員会は3月22日、企業のグリーンウォッシング対策に関する指令(グリーンクレーム指令)を提案した。2020年に実施した調査で、環境配慮をうたう広告や主張の大多数に実態が伴わないことが判明したことなどをあげて、グリーンマーケティングを行う際に科学的根拠を明示することを義務付ける方針を示した。委員会は、PETボトルをリサイクルした素材を用いたTシャツを例にあげて、実際にはリサイクル素材の割合が1%未満であることが多いと指摘し、こうした虚偽広告・宣伝を防止するため、製品のライフサイクル全体にわたる環境負荷をラベルやQRコードで表示し、ウェブサイトで根拠となるデータを消費者が確認できるように公開することを、小規模企業(従業員10人未満または年商200万ユーロ未満)を除く域内の全企業に義務付けることを予告した。またカーボン・ニュートラルに関する主張についても、CO2排出削減努力と植林などによるカーボンオフセットを峻別し、カーボンオフセットの割合や方法を消費者に明示することを、域内企業だけでなく第3国の企業にも義務付ける。環境ラベルについても、独自のラベルの乱立を規制し、透明性や信頼性に欠けるラベルを排除する。EUの基準に適合したラベル以外は公に認可しない方針であり、また、既存のEUエコラベルの利用を全企業に推奨する。
なお、欧州委員会はすでに2022年3月に、「グリーン製品」とか「環境責任製品」といった曖昧な広告文言を禁止しており、新指令は、既存の規制でカバーしきれていない製品やサービスが対象となる。新指令では、違反者に対する制裁も予定されている。虚偽の広告で得られた収入の差し押さえ、公共調達市場からの一時的な排除や公的補助金の停止(最大12ヵ月間)などが見込まれる。