食品価格の高騰を背景にオーガニック食品の売れ行きが悪化している中で、有機農業への転換を放棄する農家が増えている。2022年には3380の農業経営体が有機農業を断念(廃業又は通常農業への復帰)したといい、この数は前年を35%上回った。2022年にはオーガニックの農業経営体の6%がオーガニックを放棄したことになる。ちなみに、通常農業を含めた全国の農業経営体の総数は39万前後となっている。
有機農業の後退は特に畜産部門で顕著で、養豚では経営体の数が1年間で8%減少し、残るは800程度となった。養鶏部門でも鳥インフルエンザの影響も手伝い、有機養鶏は25%の減少を記録した。「ラベルルージュ(赤ラベル)」に切り替えたところもある。ラベルルージュは高品質であることを示す品質保証マークだが、鶏舎はオーガニックと同じであるため移行が容易で、有機飼料を使用する必要がなくなる。ただし、ラベルルージュ製品も価格が高いため、販売が後退している。
畜産農家が有機農業を放棄すると、有機飼料の需要も低下するため、飼料向けの穀類を生産する農業経営体にも影響が波及する。