バイオ炭(バイオチャー)による二酸化炭素回収・貯留に取り組む仏NetZeroはこのほど、1100万ユーロのシリーズA調達を完了した。自動車大手ステランティス、化粧品大手ロレアル、海運大手CMA CGMを新たに出資者に迎え(前2社は傘下ファンドを通じた出資)、ビジネスエンジェルのグループも調達に加わった。同社は昨年には、イーロン・マスク財団より100万ドルを調達していた。
バイオ炭とは、木炭を含む古くから知られている技術につけられた呼称で、燃焼しない条件下でバイオマスを炭化することで、バイオマス内の二酸化炭素が放出されないような安定した物質に変えて、長期間の貯留を可能にするという趣旨。技術そのものに先進性はなく、NetZeroの場合は、熱帯地方(ブラジル、カメルーン)で、バイオマスを原料にバイオ炭を生産する拠点を、プランテーション付近に整備することから事業を開始した。事業で得た炭素クレジットは顧客企業向けに販売される。
今後、バイオ炭の製造ユニットを輸送が容易なコンテナに入れて対象諸国に展開する計画で、それぞれの分野でノウハウやネットワークを有するCMA CGMやステランティスの事業面での支援にも期待する。
気候変動政府間パネルは、2050年時点で50億-100億トンの二酸化炭素回収が必要になると判断している。バイオ炭はそのうち、10億-20億トンの貢献ができるものと期待されている。