マクロン大統領は6日、パリ南郊のコルベイユ・エソンヌ公立病院を訪問した機会に、医療部門の改革について説明した。
大統領はまず、「T2A」と呼ばれる病院の収入に関する制度を廃止すると予告。「T2A」は、医療行為の件数を基準に病院の収入を保障する制度だが、これが、病院に多くの件数をこなすよう仕向ける圧力となり、現場の状況を悪化させ、利益追求のあまり医療の質そのものの悪化を招いているとする批判の声が上がっていた。大統領は、2024年社会保障会計予算法案の枠内でT2Aを廃止し、代わって、地域単位で交渉の末に定められる目標の達成状況を基準として病院の収入を保障する形に改めると約束した。大統領はまた、病院の運営において、理事と、医師の間で選出される医師代表との2頭制のガバナンスを採用し、医師の声を運営に反映させると約束した。大統領はまた、病院における労働時間の編成について見直す必要があると言明。週35時間制の適用があまりに硬直的であり、現実的な運用がなされていないとの見方を示し、各病院の部署ごとに交渉の上で新たな体制を確立するよう促した。6月1日までに新体制に移行するよう求めた。
開業医部門については、開業医をサポートする事務員の配置を増強(現在の4000人を今年中に1万人に)し、医師が本来の医療行為に専念できるようにする体制を整えると約束。現在は60万人の慢性病患者にかかりつけ医師がいない状況であり、これを年内に解消することを目指すとし、一部の医療行為を医師以外の医療関係者(薬剤師、理学療法士、助産師、看護師等)に肩代わりさせる措置を、その目的の下で正当化した。
大統領の発表について、公立病院部門の関係者らは、よい方向に向かうものだとしておおむね歓迎するコメントを発表している。その一方で、開業医組合は強い不満を表明。一部の開業医は前日の5日に、診察料の倍額(50ユーロへ)を求めてパリでデモを行ったばかりだが、大統領はこの引き上げについては公約に含めなかった。